実釣講座

 

投入のテクニック

 

込み合った釣り場にいるのはカゴ釣りのベテランばかりではなく、初心者もいれば生まれて初めて竿を振る人もいる。このような人たちが混在して釣りを楽しむわけであるから、仕掛けを意図せぬ方向へ飛ばして道糸が絡み合う「お祭り」の発生は避けがたいことである。趣味で楽しむ釣りであるから、いつも心に余裕を持って、「お祭り」したらお互いに気持ちよく対応し、周囲で「お祭り」が起こったら快く手助けしたい。

しかし、「お祭り」をできるだけ少なくすれば、釣りをいっそう楽しむことができるのは確かである。ここでは、仕掛けをなるべく正確な方向へ投げるための基本と、道糸絡みを回避する投入法などについて説明する。

 

■道糸のおさえ方

スピニングリールの場合、指先で道糸を正しくおさえないと発射のタイミングを正確にコントロールすることができない。リールが竿の真上に位置し、リールから出てきた道糸を人差し指の先端でしっかりおさえ、道糸が竿との接点で90度折れ曲がるのが基本である。

構える時にリールが竿の下側や斜めになっていると、竿を素直に真っ直ぐ振ることはできない。また、道糸を指の第一関節やそれよりも手のひら寄りでおさえたり、極端な場合は手のひらでおさえたりすると、道糸を離すタイミングを正確にコントロールすることができない。

リールから出てきた道糸が竿との接点で90度に折れ曲がっていないと、道糸をおさえる指先によほど力を入れていなければ竿を振った瞬間に道糸が出てしまうから、指先を傷つける危険がある。また、指先に力をいれ過ぎると道糸を離すタイミングがどうしても遅くなるので、発射角度が低くなって飛距離がでなかったり、仕掛けを斜め方向に飛ばしてしまったりする傾向がでやすい。

 

■竿を構える前の注意

竿を海側に突き出した状態で道糸を指先でおさえ、リールのベールを起こして(両軸リールではクラッチノブを押して)、いよいよ投入の体制に入ることになるが、その前に注意すべきは道糸の穂先絡みと周囲の安全確認である。

向かい風の場合などは道糸が竿の穂先に絡むことがある。これに気付かず竿を振ると、ほぼ確実に穂先を破損してしまう。念のために道糸を軽く引っ張るか、昼間ならば穂先を目視して、道糸が絡んでいないことを確かめる。

次は周囲の安全を十分に確認する。近くに通行者や子供が居る場合は、特に注意が必要である。構えの姿勢に入るには竿先を後方へ移動することになるが、この動作は必ず竿先を目で追いながら行う。仕掛けの移動を見ていれば、急に人が後方へ来ても気が付くからである。後ろをなにも見ないで突然構えの体制に入り竿を振る釣り人を時々見かけるが、これは非常に危険な行為である。

 

■竿の構え方

投入の正しい構え方は左図のAである。仕掛けの着水点を決めたら、その方向へ体を向けて、竿を仕掛けの飛んでいく線上に合わせる。遠投する場合は着水点を水平線と考えて真っ直ぐに振り下ろせば、狙った方向へ正しく飛行する。

意図した方向より右寄りに飛ぶ、あるいは左寄りに飛ぶという癖は、B Cのように竿を構えている時点ですでに正面から外れているからである。竿を振り始める前に、竿の軸上にあたる方向をよく見定める必要がある。利き腕の脇の下を閉じて、肘が体に密着していれば、竿を概ね真っ直ぐに振ることができる。

それでも上手くいかない場合は、剣道の大上段の構えのように竿を頭上に置き、そのままスイカ割の要領で振り下ろせばよい。

 

■竿の振り方

スピニングリールでも両軸リールでも、竿は真っ直ぐ素直に振るのが基本である。特に両軸リールの場合には、癖のある振り方ではバックラッシュが頻繁に発生する。竿を真っ直ぐに振れば、風の影響が無ければ仕掛けは当然真っ直ぐに飛んで行く。

投げるたびに右寄りだったり左寄りだったりするのは、左図のように上から見て竿先端の軌跡が円を描いているからである。竿先端が水平面で回転しているため、道糸を早く離すと右方向へ飛び、遅く離すと左方向へ飛ぶのである。竿を振る動作は瞬時であり、大脳の処理スピードが追いつかない領域であるから、回転している竿から仕掛けを真正面に飛ばすという微妙なタイミングをコントロールするのは不可能である。投げる方向に竿を正しく構え、真っ直ぐに振りおろせば、仕掛けは自然に意図した方向へ飛んで行く。

 

超遠投が要求される海岸での投げ釣りに、「回転投法」と呼ばれる投げ方がある。これは短い竿で道糸のタラシが長く、周囲に人の少ない海岸での投げ釣りで用いられる投法であり、込み合う堤防などでのカゴ釣りでは周囲の人に危害を与える恐れもある。

投入方向が定まらず飛距離がでない投げ方のひとつに、「ぶっこみスタイル」がある。正しい投げ方では利き腕の脇の下が閉じていて、もう一方の腕は前方に真っ直ぐ伸びて竿尻を掴んでいる。ところが、「ぶっこみスタイル」では構えの段階で両肘が後方に曲がっていて、両腕を同時に前方に突き出す格好で竿を振ることになる。途中まで振ったところで利き腕を離し、振り切った時点では片手で竿尻を掴んでいる状態になる。これでは竿を素直に曲げることができないし、仕掛けを発射する方向も定まらない。重い仕掛けを近距離に投入する際に用いられる場合があるが、発射方向の正確なコントロールが要求されるカゴ釣りには適していない。

 

両軸リールの場合には、慣れるまでスピニングリールよりも竿の振り方が難しい。振り始めから仕掛けを発射するまで均一の力で素直に振らないとバックラッシュに結び付くからである。また、遠投しようと力んでしまうと、仕掛けを発射した後も竿をさらに振り込むため、スプール回転数が発射時よりも上がって発射直後にバックラッシュを起こしてしまう。

両軸リールに慣れるまでは、8号程度の太めの道糸を使用し、メカニカルブレーキを強めに設定して、人のいない堤防などで投げる練習をするとよい。

 

ゴルフやボーリングでもそうだが、投げる時の精神状態はコントロールに大きな影響を与える。釣り人が少なく空いている海ならば綺麗なフォームで真っ直ぐに投げられても、込み合っている堤防などでは緊張感から体に力が入り過ぎて、思わぬ方向へ飛ばしてしまうことがある。手前のウキを飛び越えるために沖目への投入が要求される場合には、力みすぎて道糸を離すタイミングが遅れ、近くの水面に叩きつけるような形にしてしまう。

釣りを楽しみに来る人たちは、誰もがベテランというわけではない。斜めに飛ばしてしまう釣り人に文句を言ったりすれば、緊張感からますますコントロールが変になってしまう。そのような場合は、「海は広いですから、気にしないで好きな所に投げてください」と声をかけることにしている。趣味として楽しんでいる釣りである。隣人がベテランでも初心者でも、たまたまの出会いを大切にしながら、一日の楽しみを共有したいものである。

 

■投入を失敗した場合

いかにベテランの釣り人でも、横風の影響や竿を振る時の微妙なタイミングのずれなどで仕掛けを思わぬ方向へ飛ばしてしまうことがある。このような場合には、周囲の釣り人のウキ位置と潮の流れをよく見て、どのタイミングで、どの場所で仕掛けを回収するのがベストなのか考える。もし自分の仕掛けに魚が掛かってウキが沈んだらどうするか、もし自分の道糸がかぶっている釣り人のウキが沈んだらどうするか、発生が見込まれる事態をあらかじめ予測して、対応を考えておく必要がある。不幸にして「お祭り」するのが確実な場合には、相手方に挨拶して魚が掛かる前に仕掛けを回収した方がよい。

両軸リールでバックラッシュが発生した場合、周囲で魚が釣れていない状況であれば、焦らずにスプール内の道糸を解きほごすことになる。しかし、頻繁に魚が掛かるような状況下では、道糸の解きほぐしに時間をかけていると複雑な「お祭り」になる可能性があるので、道糸を手繰り寄せてペットボトルなどに素早く巻き込んでしまった方が賢明である。

 

■道糸絡みの回避

カゴ釣りが盛んな堤防では、回遊魚シーズンともなれば大型ウキが海面にずらりと並んでいる。カゴ釣りを始めたばかりの方は、この光景を目にしただけで恐ろしくなってしまうかもしれない。しかし、適切なポイントへの投入と、投入の順番に従って巻き上げれば、「お祭」は意外に少ないものである。込み合っている場所では、ある程度の絡みは避けることができないが、そのような場合でも周囲の人たちが助け合って気持ちよく釣りを楽しみたいものだ。

ここでは道糸の絡みを回避するために潮の流れを考慮した投入ポイントについて説明するが、実釣では横風の影響や道糸の手離れの悪さなどから、なかなか思い通りにはいかないものである。

 

左図のように潮が流れていない状態では、どの道糸もおおむね正面に真っ直ぐ伸びているから、Cも真正面に投げればよい。飛距離は周囲のウキとおおむね横一列に浮かべるのが得策である。魚はコマセの中を回遊して来るので、一人だけ遠く沖合に投げても釣果は伸びない。反対にあまりに堤防寄りだと、ヘチ近くにいるネンブツダイやスズメダイなどの小魚に餌を盗られやすい。

図のようなパターンでは、投入と巻上げをCだけのペースで行っても道糸が絡むことはない。この状態でA B D Eのウキが沈んだら、素早く竿を立てて道糸を海面上に浮かせ、魚の横走りによる道糸絡みを回避する。「お祭」を避けるには、自分のウキだけではなく、常に周囲の状況に注意を向けることが大切である。このように潮が流れないパターンでは、投入ポイントや周囲の投入サイクルにあまり気を遣う必要がないので気楽な釣りができるが、一般的に魚の食いは悪いので、時々竿を煽ったりして魚に誘いをかける必要がある。

 

左図は潮が左から右方向へ流れている場合である。Dのウキは投入直後のもので、A B Eのウキは投入してからやや時間が経っていて潮下に流されている。

この時にCが投入するポイントは、潮上であるAの左側である。最初から真正面や右寄りに投入すると、すぐに潮下へ流されて回収が必要になってしまう。

このパターンでは、A とBが巻き上げた後でCが巻かないと、道糸が絡んでしまう。近接した場所に位置する釣り人の投入サイクルやウキ位置を常に注意深く見守り、投入の順番を覚えていないと道糸の絡みを回避することはできない。

この状態でCのウキが沈んだら、竿を持ち上げてA Bの頭上を素早く左へ移動し、Aの左側で魚を取り込む。AまたはBに魚が掛かったら、CはAの左側へ避難して取り込みを待つか、Cの位置のまま竿の先端を高く持ち上げて、道糸をできるだけ海面から浮かせて絡みを回避する。

潮の流れが速い時には、周囲のウキや釣り人の動きに十分注意しないと「お祭り」は避けられない。また、いつまでも潮下へ流していると他の釣り人に迷惑をかけてしまう。

 

■糸ふけの防止

横風が強いと道糸の「糸ふけ」が問題になるので、よほど空いている釣り場でなければ遠投は慎むべきである。Aのように糸ふけをとらない遠投では、後から投入した風下のB Cなどと道糸が絡んで迷惑をかけることになる。この状態では、Aのウキが沈んでも「お祭り」せずに魚を取り込むのは難しい。

 

多くの釣り人は、仕掛けを投入して道糸が海面に着水してから竿を煽って糸ふけをとろうとしているが、この方法ではウキと仕掛けを手前に引き戻すだけで、糸ふけは殆どとれるものではない。

糸ふけを効果的に解消するには、仕掛けが着水して道糸がまだ空中にある間に素早くリールを巻き上げることである。この方法では道糸の巻き上げに殆ど抵抗がなく、ウキが少々手前に寄る程度に巻き上げれば糸ふけを大幅に軽減することができる。糸ふけがとれたら、今度は素早く道糸を出してウキが立つまで仕掛けを沈めていく。この操作をしないと、タナの深さ分だけ仕掛けが手前に移動してしまう。道糸をほぼ直線状にすることによって「お祭り」が回避できると同時に、仕掛けが所定のタナまで沈む時間を短縮することができ、ハリスと道糸との絡みも解消することができる。

 

■投入時のハリス絡み対策

道具立てが複雑なカゴ釣りでは、ウキやコマセカゴとのハリス絡みが頭痛の種である。この問題は、真正面あるいは真後ろから風を受けている場合か、無風の時に発生しやすい。このような状況では、道糸とハリスが同一軌道上を飛行して着水するからである。横風を受けている場合には、ハリスが風下へ吹き流され道糸から離れるので絡みの頻度は低くなる。

対策(1) カゴ内部に刺餌を収納できる天秤付き遠投カゴを使用する

このタイプのカゴでは、所定のタナに到着して刺餌が海中へ放出されるまでハリスがループ状になっているので絡みにくい。さらに、飛行中のハリスが刺餌の空気抵抗で暴れることがない。このような理由から、プラカゴやステンカゴを使用した場合に比べてハリス絡みを軽減することができる。

対策(2) 着水時の道糸張り

前述した道糸の「糸ふけ防止」の対策を行うことにより、ハリス絡みを低減することができる。着水と同時にウキを1~2m手前に引き戻す程度に道糸を張ると、ハリスだけが着水点に残されることになって絡みが防止される。

対策(3) 発射時のハリスが素直な形状であること

仕掛けを発射する時点ですでにハリスに癖が付いていて素直な形状でない場合には、非常に高い確率でハリス絡みが発生する。硬めのハリスを新しく使用する場合には、投入前に真っ直ぐに引っ張って癖を取り除いておくのが望ましい。

 

いろいろな工夫をしても、カゴ釣りでハリス絡みを完全に解消することは困難である。投入成功率90%以上程度がひとつの目安と思われる。投入してもウキが立たなかったらハリス絡みであるから、竿を軽く煽ったり、道糸を少し巻いたりして絡みを解くようにする。それでもウキが立たなかったら、いったん巻き戻して再投入するしかない。

自立型のウキでは、ハリスが絡んでいてもウキが立つのでトラブルを認識することができない。魚が食い上げた時にも変化が分からないので、カゴ釣りには適していない。

 

■底狙いの投入ポイント

表層を泳ぐ回遊魚狙いが「上物釣り」と呼ばれるのに対して、マダイやシマアジなど底物狙いでは海底すれすれまで仕掛けを沈めることになる。底魚は変化に富む地形を好むため、平坦な砂底では釣果があまり期待できない。

 

底狙いでのポイントのひとつは、足元から沖に向かって深くなっていく駆け上がりである。ここはカゴサビキでのアジ狙いの好ポイントでもある。また、朝夕のマヅメでは思わぬ高級魚や大物が掛かるのも、このポイントの特徴である。ただ、ここは小魚が頻繁に往来する場所でもあるため、サビキなど餌盗りに強い仕掛けが適している。

横風が吹いている時の遠投カゴ釣りで、風下に駆け上がり狙いの釣り人が居る場合には、竿近くの道糸がふけないように特に注意が必要である。道糸にふけがでると、6本針のサビキが絡んで苦労することになる。このような状況では、置き竿ではなく竿を手に持って常に道糸を張るようにする。

 

底魚は沖目の根回りに潜んでいる場合が多い。根のあるポイントを知らない釣り場では、タナや飛距離を変えながら丹念に海底を探ることになる。釣行時には周囲の釣り人の釣果をよく見て、釣り場の知識として記憶しておきたい。

 

■回遊魚狙いの投入ポイント

沖目の特定ポイントへ仕掛けを投入するために超遠投が必要とされる場合もあるが、堤防などでの回遊魚相手では他の釣り人たちと同じ距離に飛ばすのがコマセの効きから考えて有利である。また、青物は横走りするので、あまりに遠投すると取り込む際に近くの釣り人との「お祭り」が避けられなくなり、結果としてムダ時間が長くなって釣果が落ちてしまう。

沖合から接岸する回遊魚は、堤防の存在に気付くと90度向きを変えて、潮の流れに逆らいながら堤防と並行に走る。この回遊ルートを意識して、魚影の濃いポイントに仕掛けを投入するのが効率的な釣り方である。投入ポイントが遠すぎると魚影が薄くなるし、近すぎると堤防ヘチにたむろしている小魚たちに餌を盗られてしまう。

カゴ釣り初心者の中には、仕掛けをできるだけ遠くへ飛ばすほど釣果が得られると考えている方が少なくないようだが、これは間違いである。周囲をよく見て、釣れている地元釣り師の投入ポイントを参考にするとよい。

 

■沖への遠投

カゴ釣りの大きな魅力は、陸に居ながら沖のポイントへ仕掛けとコマセを投入することが可能という点にある。どのくらい遠投できるかは、竿の弾力性、リールの道糸放出抵抗、ウキとカゴの空気抵抗、荷重の集中性、投げ方などに依存している。

遠投するためのエネルギーは竿の弾力性(反発力)を利用したものであるから、力を入れて投げればどんどん遠くまで飛ぶというものではない。竿の弾性限界を越えた力を加えれば竿が折れてしまうし、仕掛けが軽すぎたり重すぎたりすると竿の反発力が十分に活かせないことになる。竿に表示されている号数や錘負荷が必ずしも適正な値とは限らないので、現物でいろいろ試してみた方が良い。手持ちの道具で遠投性をできるだけ良くするには、下記のような点を考慮することになる。

 

(1)振っている最中に竿がブレないように、正しい姿勢で初めから終わりまで均等な力で素直に竿を振る。

(2)竿と自分の体力に見合った適正な錘負荷にする。

(3)着水点を水平線と考えて、仕掛けの発射角度が概ね45度になるように道糸を離す。

(4)道糸はナイロンでは6号、PEでは3号を標準とする。太過ぎる道糸は空気抵抗を大きくする。

(5)軽くて空気抵抗が小さく、飛行性能の良いウキを使用し、コマセカゴも空気抵抗の少ないものを使用する。

 

込み合っている堤防などで遠投する場合には、横風による道糸の糸ふけと、潮の流れによる仕掛け位置に細心の注意が必要である。釣り場は公共のものであって、駆け上がりや近場のポイントを狙う人も少なくないからだ。カゴ釣り初心者の中には、魚を釣ることよりも仕掛けを遠くへ飛ばすことに情熱を傾けている人がいる。周囲の釣り人にさんざん迷惑をかけたあげく、結局≪ボ≫で退散する姿を見るのは珍しいことではない。

 

仕掛けを遠くへ飛ばすには、発射角度が45度で、発射時の運動エネルギー = 1/2 * m * v2 (m :仕掛けの重さ、v : 仕掛けの初速度)をできるだけ大きくすることである。仕掛けはゆるやかな放物線を描いて飛行し、発射時の運動エネルギーは高度が増すにつれて位置エネルギーに変換されるので飛行速度は落ちてくる。両軸リールでバックラッシュを起こしやすいのは、位置エネルギーが最大となり仕掛けのスピードが落ちる最高点付近である。やがて最高点を通過すると、今度は落下と共に位置エネルギーが運動エネルギーとして回収され、仕掛けのスピードは上がってくる。仕掛けが海面へ着水する時のエネルギーは、最初の発射エネルギーから空気抵抗とリール放出抵抗による損失分を差し引いたものとなる。

ここで注意が必要なのは、発射角45度の時に最も飛距離が伸びるという理論である。これが成り立つのは、仕掛けが飛んで行く時に進行方向と上下方向から受ける風圧が等しい時、すなわち無風か横風の時だけである。追い風の場合には進行方向からの風圧が小さいので、発射角度を大きく(高く)した方が有利である。同様に、向かい風の場合には発射角度を小さく(低く)した方が飛距離を稼ぐことができる。何事もそうだが、これがいい、あれがいいという話には必ず一定の条件というものがあるから、物事の本質をよく考えることが大切である。

 

 

カゴ釣りの世界TOP    実釣講座TOP    BACK    NEXT

 

 

inserted by FC2 system