カゴ釣り入門

 

 

■カゴ釣りという釣法

これからカゴ釣りを始めようとする方から、すでにカゴ釣りを楽しんでいる方まで、幅広い釣り人を対象として「カゴ釣り」の基本を解説するサイトである。海で「カゴ釣り」以外の釣法を楽しむ方々にとっても、「海釣り」という共通の視点から、ご参考になる点があると考えている。

実釣でのテクニックなどに付いては、別編の「実釣講座」に掲載する。カゴ釣りに関するより詳細な内容は、別編の「カゴ釣り専科」ご参照いただきたい。

本編は「カゴ釣り入門」と題してあるが、内容的には入門レベルに留まらず、本格的なカゴ釣りが十分に楽しめる領域までカバーした。初心者の方にも理解しやすいように書いたつもりだが、もし専門用語などで理解が難しい部分があったら他の海釣り入門書と合わせてご参照いただきたい。

■竿とリール

■ウキとカゴ

■小道具類と仕掛け

■刺餌・擬似餌とコマセ

■カゴ釣りの世界TOP

 

 

カゴ釣りに限らず、魚を釣るための基本は単純明快である。

「魚の居る場所に、魚にとって魅力的な餌が、自然な形で存在すること」

釣りの仕掛けという人為的な構造物は、自然界に生きる魚に対して全てがマイナス要因として働く。このマイナス要因をできるだけ軽減して、餌が自然のものであるかのように見せかけるのが釣果を伸ばすテクニックである。釣りは魚との知恵比べに他ならない。

魚は海の中に漂っている天然の餌を捕食して生きている。同じ釣り場に自分よりも釣果のすぐれる釣り人が居た場合、その釣り人がどうして釣れるのかということよりも、自分がどうして釣れないのかという疑問を持つことが基本である。海中を泳いでいる魚の立場になって、自分の餌を食べたくなるかどうか考えてみることが大切だ。

 

釣りにおけるマイナス要因は、海に投入する全ての物体(ウキ、テンピン、カゴ、クッションゴム、道糸、ハリス、針、餌、金具類)に存在する。個々のマイナス要因は小さなものでも、それらが重なり合って最終的には釣果に大きく影響する。これらマイナス要因の釣果への影響度は、釣行する季節、海況、気象、時間帯、タナ、対象魚などによって時々刻々変わってくるので、個々のマイナス要因を-10%とか-30%というように一義的な固定値として定量化することはできない。

同じ釣行日でも、最強の仕掛けというのは時間と共に変化する。どこの釣場にも、ある時間帯において周囲の人々よりも釣果の優れる釣り人が必ずいるものだ。そして、時間が経過すると別の釣り人がよく釣れだすという現象は、実釣でしばしば目にするところである。大海原を回遊する魚たちを相手にするには、刻一刻と変化する状況への対応が必要であり、朝から晩まで同じ仕掛けでよいというものではない。また、釣れている人の仕掛けをすぐ横で眺めても、簡単に秘密を見抜けるものではない。釣りの仕掛けとは、かように微妙で繊細なものである。

しかし、いくら自然な仕掛けを作っても、狙った魚を取り込むだけの強度がなければ釣果に結びつかない。仕掛けのマイナス要因をできるだけ軽減して、なおかつ強度を確保するという、相反する要素の両方を改善しなければ釣果の向上は期待できない。

 

    

 

釣りを愛する人々にとって、釣りをしている時間は「想像と思考の世界」に身を置くことである。釣りという楽しみを知らない人たちは、「釣りのように一日をボ~として過ごすことは私にはとてもできない」と言うが、これは全く誤った認識である。釣り人たちは、常に海中の有様を頭の中に描きだし、持てる知識と想像力を駆使して魚と対峙しているのである。陸からの釣りで大物を手中に収めるのは、決して簡単なことではない。釣果を得るためにいつも脳味噌をフル回転させ、魚に真剣勝負を挑んでいるのだ。そのようなわけで、「気の長い人」や「のんびりした人」が釣りに向く性格とは言えず、むしろその逆なのである。

毎週末に欠かさず出かけて、「ゴルフ3年、釣り5年」とよく言われる。私など、何年海へ通っても未だに初心者の域を抜け出せない。釣行するたびに新しい発見をさせられたり、打ちのめさせられたりするのである。釣りは本当に奥が深いと思う。

 

釣りの楽しみ方は、人によって千差万別である。釣果を第一に考える釣り人ばかりではなく、休日を家族と一緒にのんびり過ごす目的で海へ来た人もいれば、釣りに関する何らかの実験や研究のために試行錯誤を重ねている人もいる。狙う魚種や期待する釣果も、人によって異なるものだ。

周囲の人よりも自分の釣果が勝っているなどという思い上がりや、他人を見下した傲慢な態度は慎むべきである。込み合っている釣り場での遠投は周囲に迷惑をかけていないか常に注意し、近くの釣り人同士の道糸が絡んだら快く手助けする心構えが欲しい。

撤収の際に全てのゴミを持ち帰ることは言うまでもないが、堤防や磯にこぼれ落ちたコマセは洗い流して清潔な釣り場を維持するよう心掛けたい。

釣りの達人というのは、決して釣果の優れた人を指すのではなく、自然や人への思いやりと公共心に溢れ、技術や知識を駆使して海の生態と融合できる人を言うのである。

この「カゴ釣り入門」編では、魚の居る場所に仕掛けを投入するための釣り道具、仕掛け、餌の工夫などについて説明する。ここで説明しきれない詳細部分や、カゴ釣りの限界に挑戦する高度な技術については、別編の「カゴ釣り専科」をご参照いただきたい。

 

 

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